株価算定総論-何故株価算定書が必要か

株価算定(株価評価)-DCF法の実務 | 2018年11月2日

今回は、弊社オリジナルの連載特集【株価算定(株価評価)-DCF法の実務】第1回目をお届けいたします。

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1.第三者による株価算定業務が重要となっている

 

昨今、当社への株価算定業務のご依頼が増えています。株価算定業務の経験が豊富な専門家がまだ多くないのと株価算定業務が必要とされる場面が増えてきていることが要因かと考えております。世の中の流れとして、

 

 

▶ IPOを目指す新興企業が増え、株式発行による資金調達や新株予約権の発行が盛んに行われている

▶ M&Aが活発になっている

▶ 事業承継が進んできている

 

 

状況であり、まずは未上場会社の株取引を行う場面自体が増えています(今後益々増えることが想定されます)。加えて、企業買収等を巡る上場会社の不祥事や、裁判事例の増加等に伴い、取引価額の透明性や客観性が求められるようにもなってきました。

 

 

未上場会社の株式は近似商品の価額があるわけでも市場価額があるわけでもないため、価額の透明性や客観性を確保する上で、その取引価額の評価を第三者の専門家が行うことが重要になるのです。

 

 

そのような背景から、今後も株価算定業務の依頼は増えてくることが想定されます。これから株価算定業務が必要となる方は、対応できる身近な専門家を確保することが重要です。

 

 

なお、第三者評価は公認会計士等の専門家だったら誰でもよいというわけでなく、きちんと知識と経験を兼ね備えた専門家へ依頼することをおすすめします。

 

 

取引には相手があるため、相手方の専門家と議論を交わさねばならない場面が生じるかもしれず、その際にこちらの専門家がタジタジとなるようでは頼りありません。

 

 

また、取引に不満を持つ相手方によって裁判に発展するケースもあり得ますので、入手する株価算定報告書がきちんと理論武装されたものであることを依頼者自身が確信を持っていただくくらいが望ましいです。

 

2.この連載を読んでほしい方

 

この連載は、まずは株取引を実行する会社等の担当者にご覧いただければと思います。

 

 

株価算定報告書はあくまで株取引を行う方の「参考資料」としての位置づけに過ぎません。その報告書を理解して取引を実行する責任は取引実行者にあります。そのため担当者の責任は重大であり、担当者自身の理論武装に役立てていただければと考えております。

 

 

次いで、公認会計士、税理士、銀行や信用金庫の担当者といった同業者にご覧いただければと思います。

 

 

当社は同業者からもそのクライアントのために、ということでご依頼いただくことがありますが(第三者評価なので、顧問等になっている方はそもそも株価算定業務ができないといった事情もあります)、中には経験がないため一緒に実務を行い、やり方を教えてほしいという方もいます。

 

 

これから益々増えていくであろう株価算定業務に対応できる同業専門家が増えるよう、微力ながらお役に立てればと考えております。

 

 

また、弁護士等の他業種専門家にご覧いただければと思います。

 

 

株取引を巡るいさかいは後を絶ちません。基本的に両者が納得いく価額で取引が行われている場合、特に問題になることはありませんが、どちらかに納得感が得られないまま進められた取引は事後的ないさかいの元となりかねません。

 

 

相続の際、事業承継の際、組織再編の際、M&Aの際、株を持っている役員や従業員が退任の際など、負の感情が燃え上がる際の株取引により事後的に争いに発展する場合、仲裁や裁判を担当する弁護士先生自身も株価の合理性を検討する必要性がでるかもしれません。それらの際に本連載がお役に立てれば幸いです。

 

 

なお、当社では

 

 

▶ 株価算定業務の依頼を前提とした無料相談

▶ 株価算定実務に係るセミナーの実施依頼

▶ 同業専門家向けの有料相談(時間制)

 

 

を受け付けています。もしご不明点や当社が具体的に何をやっているかについて突っ込んだお話しを聞きたいという場合、個別にお問い合わせフォーム(http://www.jojo-shien.com/company/contact)よりリクエストをいただければ幸いです。

 

3.第三者による株価算定(株価評価)報告書が必要となるケース

 

株価算定報告書は、未上場株の取引価額の公正性、客観性を検討する上で、内部資料として必要とされる場合があります(会社のルールによりますが、現在は増えています)。

 

 

上場会社であれば、買収や他社の第三者割当増資を引き受ける際、上場準備会社であれば左記ケースの他、自社株式の評価を行う際等に、第三者による株価算定報告書の入手が必須とされる場合が少なくありません。

 

 

また、外部公表資料として用いられる場合もあります。例えば、MBOやTOBの際には公開買付届出書に添付される資料となりますし、裁判の証拠資料として提出され、訴訟記録として開示される場合もあります。第三者割当による株式発行の場合に取引所、監査役、第三者委員会等に開示される場合もあります。

 

 

初回である今回は、株価算定実務が重要となっているという総論的なお話をさせていただきました。次回以降は実務も交えた株価算定業務の具体的解説に入っていきたいと思います。以下目次ですので、ご参照いただければと思います。

 

 

では、今回はこの辺で失礼いたします。お読みいただきありがとうございました。

 

 

【目次】

第1回 株価算定総論-何故株価算定書が必要か(今回)
第2回 株価算定の手法
第3回 DCF法総論
第4回 将来フリー・キャッシュ・フロー(FCF)の算定
第5回 割引率①-加重平均資本コスト(WACC)と資本構成
第6回 割引率②-株主資本コストと有利子負債コスト
第7回 予測期間とターミナルバリュー(継続価値)、割引率の採用タイミング
第8回 非事業資産と有利子負債
第9回 被支配者株主持分、新株予約権、種類株式がある場合の留意点

 

 

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